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出会いと再会、フレンドリーな国際交流フェス
日本最大の野外カントリー音楽イベントに初参加

 18年目にして初めてCountry Gold(10/15@阿蘇アスペクタ、以下CG)へ出かけた。折しも熊本市内は祭り一色。 熊本城築城400周年、城のライトアップと内堀のみずあかり(竹灯ろう15,000本)、はしご酒大会、 ストリート・アートプレックス(随所でジャズ、ラテンなどのライブ演奏)。市内から55キロにある阿蘇山麓の巨大野外ステージは、 きれいに刈り込まれたまるでフェアウエイのような芝が観客席、なだらかな傾斜で舞台に向け広がる。 正午からのオープニングに先立ち、ナツコ・グレース(ダンシング・テキサス代表)によるカントリー・ラインダンスの講習が始まった。 1995年のCGから設置された板張りのダンススペースに生徒たちが数列横長に、 遠路埼玉から参加の筆者も左右のご婦人と手をつないで並んだ。ウエスタン・ファッションの男女ざっと200名。 全国各地のダンスクラブ所属の人たちが多いのでみな覚えは早い、二つの振り付けをまたたくまに習得。 定番Let's Boots DancingをMy Name Is Good Time CharlieのCD に合わせて踊った後は、 ロデオシーンを想起させる仕草と腰振りがアクセントのHonky Tonk Badonkadonkが続き2時間近くにわたるダンス教室は終了した。 我が国を代表するカントリーダンス指導者としてほかにリリー飯塚(クラブ・ハウディ代表)や 菅原遊(ダンシング・アパルーサ代表)などの姿もあった。

 オープニング・セレモニーではスポンサー旗を手にした9人のカウボーイが馬にまたがり入場するシーンは見どころの一つ。 主宰者チャーリー永谷(1936年熊本市生まれ、本名・正輝)の開催挨拶は簡潔に済ませ、 ホストバンド、チャーリー永谷とキャノンボールズの演奏が始まった。 本場グランド・オール・オープリーでの出演実績(初出演は1985年)と演奏歴50年の貫禄で、 あのハイテナー歌唱はいささかの衰えを感じさせない。Truck Driving Man やCrying Time を披露する合間に、 この日誕生日を迎える参加者3名の氏名を告げHappy Birthdayを演奏するなどファンサービスも怠りなし。 かって、なぎら健壱もやったという総合司会は江越哲也。 彼のインタビューでチャーリーは先ず、今日のこの秋晴れに感謝、17勝1敗、2001年だけが9/11の悲劇による涙雨だった・・・。 謝辞は続く、18回連続参加のファン(約300名)へ、リピータへ、初参加者へ、常連だった亡夫の遺影を持って参加のご婦人へも。

 13:20:Moot DavisとPete Andersonが始まった。きらびやかなウエスタン・ジャケットとサウスポーギターでムートが歌い、 シンガー・ソングライター兼プロデューサーのピートが右横に立ちハーモニーをつける。 ドワイト・ヨーカムを育て、彼のバンドのギターリストも務めたピートがナッシュビルの居酒屋(ホンキトンク)街で歌うムートに注目し、 目下育成売り出し中といったところだ。ホンキトンク・カントリーが、容赦なく照りつける陽光のアスペクタを包む。 Whisky Town 、乗りのいいThanks For Breakin' My Heart、やNothing、日本をイメージしたバック・オーエンスのMade In Japanなど耳に心地よい。

 14:25:いきなり、これぞブルーグラスと言わんばかりのアップテンポでインストナンバーが。 お待ちかねThe Grascalsの面々だ。左からDanny Roberts(Ma)、Jimmy Mattingly(Fi), Jamie Johnson(Gi&Vo)、 Terry Smith(Ba)、Terry Eldridge(Gi&Vo)、Dave Talbot(Bj)の6人編成。ダンサー達も聴き惚れ、舞台真下のフロアーはしばし空っぽ。 ”2人のボーカルにデイブあるいはベースのテリーが加わって聴かせるトリオ・コーラスは、オズボンブラザーズ伝来の究極のブルーグラスハーモニー” (公式ガイドブック、島田耕)にはみな鳥肌が立ったに違いない。また彼らの強みはボーカル陣の厚み、 ”誰がどの曲をどのパートで歌うのがベストか、何回も歌い合わせて決めている”(ムーンシャナー誌・渡辺三郎とテリーEの対談) というから納得である。この日の演奏曲で筆者の好みベスト5を挙げればToday I Stopped Loving You 、Long List Of Heartaches 、 My Salo Jane 、Me And John And Paul、Viva Las Vegasとなる。 幸運なことに、帰りの熊本空港でテリーを見つけ、ハットにサインをもらいながらマール・ハガードが歌ってたこのToday.... は次のCDに収録すると聞いた。"Thank you for your time,Terry. We 're looking forward to your next CD!"。 20年以上も下積みのバック・ミュージシャンを続けてきたこの実力派たちは10/13(金)、熊本県立大学を訪れ学生たちの前で演奏、 学生たちも”上を向いて歩こう”を合唱したという。ブルーグラス界最大の栄誉IBMA Entertainer Of The Year 2006を獲得した 6人のストリングスとハーモニーボーカルを聴く学生達の目の輝きを思い浮かべると、 これだけの逸材が熊本だけでの演奏で日本を去るのはいかにももったいない・・・誰もが感じる思いであろう。

 潮谷義子熊本県知事や2006年ミス・ロデオ・モンタナCassidy Hanの祝辞をはさみ16:05からの舞台はガールズバンド、Cowboy Crushだ。 ナッシュビルのベルモント大学・音楽学科の同級生でバンド結成はわずか3年前なのに、 昨年のファン・フェア(現名称はCMAミュージック・フェス)ではアメフトコロシアム(ナッシュビル)を沸かせたというから驚きだ。 イラク反戦メッセージでホワイトハウスを刺激した3人のガールズバンドThe Dixie Chicksが来日(1996年5月、熊本カントリーサンシャイン出演) した10年後にこの熊本に若き5人組が出現、阿蘇の女神が引き寄せたのか。 メジャー・デビュー曲Nobody Ever Died Of A Broken Heartなど、ビートが利いたサウンドで広いステージを目一杯動き回る。 特にリード・ボーカルのトレナは楽器の負担がないだけに動きも自由自在だ。 江越アナが言ってたようにギター抜きのカントリーバンドであることも珍しい。

 さあ、Charlie Daniels Bandの出番だ。1994年以来CGは2回目、2002年の新潟Country Stampedeを入れると3度目の来日。 巨体から繰り出す烈しいフィドリング、70歳を感じさせない歌声とバリトンボイスの曲中ナレーション。 ものの1曲で弓がすり切れ、それを舞台下の観衆に向けポーンと放り投げるパーフォーマンスも。 思わぬプレゼントに、機敏にキャツチした女性は大喜びだ。一方、ギターのクリスはギターピックをばらまくなどサービス精神は旺盛。 名曲Rocky Topはかなりのアップテンポで。Orange Blossom Specialになると他バンドのフィドラーThe Grascalsのジミーと Cowboy Crushのレノーも登場、トリプル・フィドルの競演。チャーリーのフィドルはギター、キーボード、ドラムスなどともケンカを始めた。 バンジョー同士の対決はよくあるがこんなステージングなので観客はもう大満足である。1 8:00過ぎ、気温が急速に下がってきた。東京からの小浜政夫ツアー・コーデネィターの事前注意がなければ寒さに震えていたであろう。 セータと雨合羽が役立ってよかった。全出演者が出てきて、”永遠の絆”が始まった。 舞台照明はフル点灯。Will the circle be unbroken....の歌声が阿蘇山麓に響き渡った。花火も打ち上がった。 来年の”約束の日”は2007年10月21日。20周年までは会場変更はなさそうだ。 この日の模様は11月3日、NHK(BS2 16:00〜16:55)で全国放映される。お見逃しなく!

 

取材協力:ビリー二村、小浜政夫
文中敬称略
(リポーター:ロイ田沢 2006-10-20)

カントリー音楽が帰ってくる・・・
日本のSons Of The Pioneersを聴いて
 オリジナル・テーマソングSouth Bound Express(作曲:ダン岡山、タイトル命名:アンディ徳永)をバックに、MCトクさんの “満員御礼”トークでOle Country Boysの1st セットが始まった。お盆連休の初日8/12(土)夜8時、 はっぽん(東京・国立)はすでに50人超の中高年ファンで満杯。 バンド名のボーイズは今は名称だけ、2名の女声ボーカリスト、大柄のぬうと細身のKEIが入り男女混成総勢9名の大所帯で、 カントリーでは珍しく三〜五重唱のハーモニーボーカルを得意とし、今OCBは首都圏カントリーバンドのビッグネームの一角を占める。

 なにせ狭いステージのこと、ドラムは背後に縦長にセットされていてヤン加藤の頭は今にも天井にぶつかりそう。 ギターとボーカルのだいちゃん(アマーミ大島。はっぽん店主)は舞台からあぶれインカムのヘッドセットを着けカウンター内で演奏するのだが、 PAのよさもあってなんら違和感はなく、むしろ演出効果として効いている。 ブラッド・ペイズリーを彷彿させるヤングガイMACOの歌うLookin' Out My Back Doorとジミー・ロジャースの名曲 Peach Picking Time Down In Georgia(徳永)の男声ボーカルに続き、ぬうの“ラストダンスは私と”では男声三重唱がバックコーラス、 そしてKEIの“思い出のグリーンクラス”とポピュラー曲オンパレード。 St-Gマッシー釜石のインストソロでは音量と照明の照度を連動させる仕掛けがあり、アップテンポになると舞台照明は輝きを増す……。 トクさんが再び古いラブソング、“メキシカリ・ローズ”をしっとり聴かせ、Jambalayaではぬうがソロをとり男声バックコーラスで盛り上げる。 このセットのおしまいは、MACOのリードボーカルでBye Bye Love、これほどの重量級男声四重唱を日本で聴けるとはうれしい。

 休憩後はお客様タイム、発声練習を兼ねて宮前ユキのオリジナル“おまえとナッシュビル”をだいちゃんのリードでみんなで歌う。 ゲストの呼び込みはだいちゃんが担当。歌詞カードなしで歌う人が多いところをみると、 日頃歌い込んでる常連さんや他のバンドで活動してる人たちのようだ。マイギターを持ち込みJohnny Guitarを歌うリタイアリー、 Only Youを熱唱する熟年女性、完璧を期すため譜面をバンドに渡して演奏した若人はBaシャイアン後藤のご子息らしい。 女性フィドル教師のTennessee Waltz、その生徒の中年男性によるFaded Love などなど。 この男性は50歳でフィドルを習い始め、6年間でこれまでの弓さばきになったという。

 10:30PM、2ndセットが始まる。カントリーダンサーたちは狭いスペースに見合ったステップで、窮屈ながらも楽しげに踊っている。 大柄のぬうが“太く短く”をいつもながらの手作り衣装と、底抜けハットをかぶりベビーボイスで歌い喝采を浴びる。 客席からは「細いよ!」とジョークが飛ぶ。 KEIが加わりI Feel Luckyや売れっ子グレッチェン・ウイルソンのナンバーを女声デュオで聴かせ、 トクさんがA Wayfaring Strangerを小坂一也が歌ってた日本詞バージョンで披露。最近は意図的に日本詞曲を歌うようにしてるようだ。 Hello Mary Louは圧巻の重量級ハーモニー(リード大島、トップ徳永、セカンド後藤、バリトン西村、バス釜石)。 プレスリーの名曲 Hound Dogでついに店内は最高潮に。だいちゃんの“古いギター”(作詞:大島、作曲:西村)に乗せ、 カントリーダンサーたちはFeel Like Fool(ワルツ。ダンスの振り付け名)を静かに踊りお開きとなる。

 団塊の世代が定年を迎える2007年はもうすぐ。 我が国のカントリー音楽への回帰とカントリーダンスファンの拡大を予想させる一夜であった。 

敬称略
(リポーター:ロイ田沢 2006-8-13)

北の港町に響くカントリー
年々高まる熱気と広がる参加層


ロイ田沢
 開幕ベルのあと一瞬の静寂。アコースティック楽器が軽快に鳴り響き、緞帳が上 がり始め た。中島美砂のブルーグラスバンドWingrassをバックに、真っ赤な衣装の5人の クログダ ンサーたちの白いパーカッシブシユーズの乾いた音が、このダンスのために敷き 詰めた木 製パネルと特殊マイクが音響効果を上げ、テネーシー山間の我が家を歌うRocky Topの演 奏と ハーモニーボーカルが踊りに 溶け込んでいく。第3回小樽カントリー&ウエスタンフェスティバルのオープニ ングであ る。 梅雨のない北海道の看板が泣く、雨と曇天低温の日が続きやきもきさせら れた が、この日は好天、会場のマリンホールは400人超の観客で埋まった。総合司会 のFMおた るベテラン・アナ、石橋やちよが、アシストする2人の男性とともに開会宣言。 社会人4名、 北大生2名から成るWingrass、昨年秋発足のニューカマーとは到底思えない。ア カペラで 聴かせてくれたゴスペルDown To The River To Prayもよかったが、圧巻は演歌”与作”のブルーグラス・バージョン、正に サプライ ズに値する構成である。おなじみのJambalayaにしてもボサノバ調のアレンジ で、美砂の ソロとそのバックコーラスもすばらしい。中島ファミリーバンド4姉妹の末っ 子、美砂と 夫の高瀬洋平のインタビューでは洋平が「仕事そっちのけ」でバンドリーダーと してがん ばっていること、ナッシュビルで収録の新アルバムのこと、中島家とブルーグラ ス・スタ ーのアリソン・クラウスとは家族ぐるみの付き合いをしてることなどが話題と なった。

続くは、3年連続出演の染田屋光高のStar's Dream、北大ブル研の精鋭たちだ。 おそろい のコスチュームが北海道新聞の記者の目に止まったのだろう、翌朝の紙面には彼 らの演奏 シーンが大きく掲載された。白シャツに蝶ネクタイ、黒のサスペンダー、紅一点 のフィド ラーは文字通り赤いドレスで。ワンマイクを全員で囲んでのハーモニー、楽器ソ ロでは交 互にそのマイクの前で、絵になる動き、ビジュアル効果満点の古き良き演奏スタ イルを見 せてくれた。ゴスペル、Happy On My Wayの切れ味するどい展開もさる ことながら、おしまいのViva Las Vegasではプレスリーナンバーとしておなじみ のせいか、 大喝采を浴びた。インタビューではブル研部長でもある後藤宣人も呼ばれ、染田 屋の後輩 にしては落ち着き払った風貌でトウサンと親しまれ、部員に信頼されてるなどの エピソー ドが紹介された。

カントリーダンスの時間がきた。ファーリー井口とリリー飯塚が今年も5人のA級 インスト ラクター(東京)と登場。オープニングでいきなり披露した北海道初のクログダ ンスを、 なつかしいオールデイズ曲MRベースマン(CD)に乗せ、振り付けを替えてもう一 度踊った。 リリー飯塚は言う「衣装を新調してこの日に備えた。このダンスはまだ日本では 珍しく、 踊れるのは多分私たちのチームだけ」。ここで幕が下り、幕前で井口のラインダ ンス講習 が始まる。客席の希望者がステージ前の特設フロアに集まり、数分の実技指導の あとテン ポのいいカントリー音楽にあわせて踊る。まずまずの仕上がりのようだ。再度幕 が開き、 Howdy Club Dancersの模範演技。衣装をタイツに代え一列 のラインで躍動した。続いて、地元小樽教室のSecond Chance Waltz、途中で男 2人がデ ィーン(教室の講師)がいないではないかと騒ぎ出す。千鳥足で現れたディーン に女達も 集中砲火。そこにインデアンの酋長が現れ、皆をなだめて、ガン・シューテング の仕草を 取り入れたWrong Wayという 踊りで盛り上がる。

ウッドベースの重厚な響きからインスト曲Night Walkでキックオフ。演奏歴40年 を誇る5 人のピッカーたち。The Way-Faring Srangersだ。夫人たちや追っかけ組を含め 総勢19名 で東 京からの参 加である。彼らのハーモニーボーカルは天下一品、事実聴衆のアンケートにも 「まるでダ ーク・ダックスのよう」と賞賛の声があるが、楽器演奏のハンディを負ってのハ モりは、 more thanダークだ。 ”さらばジャマイカ”のナツメロからブルーグラスの定番望郷ソングBlueridge Mountain Bluesなど8曲の後は、田村守作品集から2曲。若きあのころ仲間と 歌ったカン トリー、♪元気でいる限り歌い続けよう・・・リスナーたちの手拍子と一つにな りマリン ホールにこだました。”昔ながらのカントリー”が終わり、リーダーの近藤俊策 が福森千 花を呼び込む。2バージョンの”母からの便り”をキーを代え一曲内に収める小 樽フェス だから実現した即興的試みだ。先ずはウエイファー・バージョンで、次に千花 バージョン で。郵便番号制導入時のキヤンペーンソングだった往年のこの名曲が、今ここに 3代目 (2代目は坂本孝昭)として甦る。

ナッシュビルから一時帰国した福森千花がCountry Rock Specialをバックに再び 登場した。 人気カントリー歌手、シャナイア・トウエインの声にもよく似ている千花、Man, I Feel Like A Womanや Upなどをカバーし、 ロック調にアレンジしたブルー グラスの名曲Blue Moon Of Kentuckyでは得意の裏声で、そしてカントリーダン サーにも おなじみのRose Gardenや”カウボーイの恋人になりたい”など全9曲を一気に 歌いきっ た。慣れな い外国生活でスリムになった彼女だが、パンチの利いたパワフルな歌声は健在。 石橋アナ が将来の抱負をたずねると、「I wonna be a big star(カントリーの大スター になりた い)」と 応じ、出身地岩 内のファンなどの大声援を受けていた。

さあ、今や我が国のカントリーミュジシャンのビッグネームの一人、大野真虎が 元気に舞 台に立った。
トップ曲は自分のことを歌うかのようなI Think I'll Just Stay Here And Drink(俺は いつでもここで飲んでる)。ハーモニカの久保拓馬がおなじみRoute 66 を歌 い、毎年こ の時期ウイスコンシン州から やってくるビル ・コンウエイは今年話題のFolsom Prison Bluesをスティツクを叩きながら歌 う。キーボ ードとハーモニーボーカルは小樽出身のミコ(大橋美奈子)が初参加しメンバー 補強され たHoppers Groundであるが、このバンド名は まだ当事者にも浸透して ないようで、随所で旧Grasss Hoppersが口に出そうになった。また真虎のスロー でひょう ひょうとしたMCが、進行時間を気にする舞台袖のタイムキーパーをやきもきさせ たが、 Will The Circle Be Unbrokenをカント リー調で締めくくり ことなきを得た。インタビューでは小樽には釣りによく来ること、主宰している 札幌・南 蛮ナイト(ライブハウスでのアメリカンミュージックの宴)のことなど、持ち前 のおとぼ け口調でやりとりされた。

You Are My Sunshineのグランドフィナーレが終わり、主催者を代表してロイ田 沢が”こ のカントリー音楽フェスが小樽名物になるよう引き続きがんばりたい”と挨拶、 遠路本州 方面からも50名近いアーティスト、リスナーを迎えての4時間にわたるノスタル ジック・ ポートシティ小樽でのコンサートホールイベントは無事閉幕した。来年6月23日 (土)の 再会を、それぞれ胸に秘めながら・・・。

文中敬称略
(リポーター ロイ田沢 2006-6-29)

<データー>
主催者数17名、出演者数36名、実入場者350名(昨年327)、総入場者404名
有効座席数 385席

<アンケート集計> 回収枚数79
1.来場のきっかけ(複数回答)
  *ラジオ・新聞・雑誌 4 *チラシ・ポスター 8 *口コミ 29
  *昨年よかったから26*インターネットほか 20

2.来場者属性
  男性37%、女性63%
  市内51%、 道内38%、本州11%
  20代 13%、30〜50代 35%、60代 52%

3.コンサートの感想(順不同、+は同様の回答を示す)
★ウエイファー
長老、貫禄+、風格、ベテラン、年輪、大人の味++、年季を感じる、渋い++
ムードが最高、心に響いた、聞き惚れた、いい意味で眠くなった++
おじさまブルーグラス、とても好き+
ダーク・ダックスのよう、コーラスがいい、ハモりがすばらしい++++++++
千花とのジョイントがよかった、母から・・は我が合唱団でも歌いたい、
歌声に年齢を感じさせない+、健康に気をつけて来年も来て++++
昔ながら・・・に涙+、MCもすてき(19歳、女性)、プロの演奏、インストもいい、
Bjとドブロに哀調、Giもいい、めずらしい楽器(たぶんオートハープ)からきれいな音+
赤い衣装で来年も演奏して、ジャマイカや赤い河に感動、初めて聴いて感動

★ウイングラス
与作がよかった++++
服装からはじめは素人バンドと思った
曲構成がいい、選曲に工夫のあと+
音程しっかりしてる、アカペラに寒気・鳥肌、息がぴったり++
聴きやすかった、演奏者の楽しさが伝わってきた、新鮮
Fiがいい+、 Rocky Topのハーモニーよし

★北大
学生らしさ、若々しさ、さわやかさ、エネルギー、好感++++++++++++++
昨年よりうまい、プロ級、レベルアップ++、男性の衣装も女性のドレスも素敵
Fiがいい+ 、Maがいい、Bjは笑顔で、演歌も歌って、ゴスペルを極めて
メインボーカルは本場アメリカの声だ、卒業しても続けてほしい

★福森千花
歌はうまい、かわいい、ノリがいい、歌唱力、大きな声、声量、迫力++++
すてきな声に感動、パンチ、パワフル、張り++++++++
本場仕込みの英語期待してます、スターになって+++、来年も見にきます、応援してます
去年よりうまい+++、バラードも聴きたい
元気よすぎる、踊りもよい、カントリーでこんな若い方の声を聴けて天国でした
音がデカすぎ、騒音に感じた、きつすぎ、耳をふさぐ人も++++++++
バンドの音が大きすぎ、歌詞が聞こえない

★大野真虎
とぼけたトークが最高、しやべりに工夫を+
ハーモニカがいい、しぶい雰囲気、ホンキトンクムードが最高++++++
トリにふさわしい、安定した歌いぶり

★カントリーダンス
初めて見た、すごかった、度肝を抜かれた、新鮮+++++++++++、
こんな踊りがあるとは知らなかった、カルチャーショック+、姿勢がいい、
演奏とよく合ってる、カントリー、ブルーグラスにぴったりのノリでかっこいい、
赤い衣装がよい、チアガールのように見えた、どうも衣装が+、
もっと若い方が、笑顔がほしい、古い踊りが平成の時代に輝いた

<以上クログ>
小樽に教室があるのはうらやましい、私もできそう、寸劇おもしろい、ミュージカル風、
学芸会、昨年より上手に、高齢者の踊りに好感これからの小樽に明るさ(32歳、女性)
男性ダンサーよかった+、ギターネクタイいいな+<以上小樽教室>
ファーリーのコールでスクエアダンスもやって

★全体として
屋外でビールを飲みながら大騒ぎしたい
ぜひ来年も、また来ます、来年をたのしみに+++++++++++++
とにかく続けてほしい、北海道にふさわしい+++
会場案内看板わかりにくかった+、年一度といわずもっとできないか、時間長すぎ
楽器の種類が多く勉強になった、演奏と歌のバランスがいい、ダンスでは客席と一体感

年々ウエスタンが定着していく感じ、きっと小樽名物になる
2部制にしたらどうか、ロックに不慣れな人に配慮を、夕方からなら皆参加できたのに

2時間半でまとめてほしい、電気楽器にはなじめない、音がうるさい、ボリユームダウンせよ、
カントリーが好きだった若い頃の身体が覚えてくれていた(67歳、女性)
MC長い、しらける、幅広い年齢層が楽しめる、来年はまた新しいものを
¥1,500でこんなに盛りたくさん、見どころたくさん、感動しました
カントリーは元気で楽しい、リズムに乗り楽しそう、見てる方も身体が動く


以上あえてアトランダムにありのまま掲載しました。(ロイ田沢)

ブルーグラスファンのみなさま・・・
三味線をブルーグラスに融合させた男  国本武春の衝撃ライブ<2005年6月5日(日)・ロッキートップ>

 地の利のいいブルーグラスの殿堂Roky Top(銀座)に出かけた。定刻19:30からやや遅れて一行が男女半々数十名で満杯になったテーブルをかいくぐってステージに。
 浪曲師・国本武春(44、千葉)のアパラチアン三味線ツアー5日目(6/2)の開演だ。黄 色地にクロの大柄チェックのシャツとジーンズの”たけちゃん”のお腹の上には愛器がほどよく納まり、本場からやってきたThe Last Frontierの面々(Ma,Bj,Gi,Ba)と絶妙なストリングアンサンブルが展開された。Little Georgia Roseなど正調ブルーグラスも織り交ぜながら国本オリジナルのLonesome Yokochoや忠臣蔵・松の廊下のシーンを シャミに乗せてうなる。リスナーたちの合いの手もタイミングよく入る。猛烈に早く激しいバチ(実際にはサムビック)さばきなので絃切れなどを心配したが、杞憂であった。ただ調弦だけは頻繁に。ブルーグラスの醍醐味である早弾きも
さることながら、センターマイクをターゲットにしながらのステージアクションがまた見どころだ。国本だけが主役にならず、BjのJP(24、TN)、Maのアーロン(21、TX)、Giのダニエル(23、NJ)それぞれが中央に1本だけセットされたマイクでソロ演奏、役目を終えてはなめらかに時計方向に移動。Baのケン(39、TN)だけが右後方でどっしりと構えリズムを刻む。ボーカルハーモニはアーロンとダニエルの若手2人がメインで、国本がときどき加わる。
 客席を見回すと、大御所・笹部益生をはじめ、島田だん吉、アコースティクワールドの岩本健、元シャギーマウンテンボーイズBj森田福司などの姿も。笹部は呼ばれて舞台に上がり、トリオボーカルで沸かせた。やはりハーモニーは3人の方が厚みがあり楽しい。各40分
3ステージで全29曲。Dream Of A Geisha やNinja RunのほかAre You Missing Me、 Blue Ridge Cabin Home、Law Hyde、 アールズメドレーでのFoggy Mountain Breakdownなどなど。ブルーグラスの場合、題名紹介を省略(または失念?)するケースもままあるし、筆者自身の不勉強のせいもあり全曲名の把握は残念ながらできない。JPのバンジョーワークもおもしろかった。首を上下に伸縮させながらリズムをとる。何 しろ熊のような大男なので、もう頭はステージの天井にぶつかるくらいだ。3重唱でめずらしく彼も歌ったときなど、バリトン国本の姿は見えないくらい。アンコール曲は店主田口と東京のブルーグラスファンに敬意を表してであろうRocky Topで締めた。エンディングは〜Rocky Top Tokio、 Rocky Top Tokio!
日本ブルーグラス界のイチロー。そしてETSU(東テネシー州立大)ゆかりの若手ブルーグラッサーたちに完全脱帽の一夜であった。

文中敬称略
参考図書:Moon Shiner 2005 May、日経夕刊5/9、公式サイト”うなるカリスマ、国本武春”
          (リポーター:ロイ田沢2005-6-5)

Rattlesnake Annie・2005年サクラツアー・国立<4月2日(土)>

<ジプシースネーク花見ジャパンツアー 初日、国立・はっぽんは超満員>


ギター1本を抱え世界を駆け回るカントリー・ブルースの国際親善大使、Rattlesnake Annieが今年も来日した。なにやら恐ろしいステージネームの割には、美しくやさしい曲をつくり自ら歌う彼女の日本公演は桜のこの時期、1991年から続いているが、その象徴ともいえる曲ワルツ、Kunitachiを、ここ東京・国立市のライブハウスはっぽん(4/2、20:30〜22:00)で、エンデングの33曲目に聴かせてくれた。綿畑とたばこ畑にかこまれたテネシー州のいなか町で、スコテシュ・アイリシュとチェロキー・インデアンを先祖として生まれたスネークは12歳で従姉妹とシンギングトリオGallimore Sistersを結成、プロとして歌い始めていたという。1960〜70年代にはWillie Nelsonとの交流を通じテキサスを中心に活動、1980年代から南スペインに居住し、欧州各国でのツアーを続けた(詳細はインターネットで閲覧できます)。  

 バンダナで髪を鉢巻にした小柄なスネークが舞台に立ち、ミズリー州や加州からの米人客もふくむ約50名のファンと常連客でごったがえす客席に語りかけるように歌い始めた。On The Road Again、Release Me などなじみの曲や自作の沖縄ソングなども折り込みながら、あるときは高く澄んだ声で、またあるときは絞り出すような、そしてあるときは意図的なのだろうかガラガラ声で。Swing Low Sweet Chariot、Sixteen Tons、そしてWill The Circle Be Unbroakenともなると観客も一緒に歌いたくなるムードだ。事実、照明が落とされていた客席が明転するにくい演出で、ここぞと全員合唱が始まる。終盤、店の大島オーナー作詞の”古いギター”が披露されたあとも、Tennessee Waltz 、Kentucky Waltz、Jambalayaとどんどん歌い進む。バックバンドはなしで、自ら弾くギター間奏も短く30分に10曲強のペースである。締めはKunitachi。この曲ははっぽんの複数のレギュラーバンドがカバーしており、桜花爛漫の国立にふさわしく、またカントリーバンドが演奏してもブルーグラスバンドがハーモニーをつけて演奏しても感動的で、彼女の最高傑作の一つである。店主の大ちゃんが腕を振るった手料理をつまみ、バーボンなどボトルごとのみ放題。かなりできあがったリスナー達のアンコールの熱望でVia Con DiosとYou Are My Sunshine。休憩なしのワンステージ1時間30分、全35曲を一気に歌い切った。

この日はまた日本での新しいCDのリリース記念日。”Rattlesnake Annie Sings Willie Nelson"(@\3,000)を購入した客に、スネークは愛想よくサインをして回っていた。舞台ではカントリーバンドKunitachi Hayrideの演奏準備完了、観客が飛び入りで歌うオープンステージの始まりだ。トップは客として居合わせたヘンリー矢板。ジミー時田の後継者としての風格をにじませながら会場を盛り上げた。

 翌日曜日はくにたち市民芸術小ホールで地元小学生合唱団と共演の桜コンサート。東京では4/15にBack In Town(曙橋)でも。4/18に離日、ドイツなど欧州ツアーに向かう。On The Road Again(また旅に出る)のスネークに幸多かれと祈りたい。



    
                 =敬称略=(ロイ田沢 2005-4-3)

<スチールギターの大会、東京・中野で・・>
=カントリー、ハワイアンのファンで沸く=

 イベントとはすべからく驚きがなければ参加者に感動を与えることはできない。台風一過のさわやかな夕暮れどき、The 8th Japan Steel Guitar Convention(10/22、東京・なかのZERO小ホール、主催Fuzzy Pedal Steel Guitar Products/代表 藤井三雄)に初参加し2つ のサプライズを堪能することができた。この音楽イベントのお手本はDeWitt Scott(SGプレーヤー、メインゲストの一人)が1968年に米・ミズリー州セントルイスで立ち上げたInternational SGCで、世界各国のカントリー、ハワイアン、ジャズ、ロックのSG
トッププレーヤー、SG愛好家、楽器商などが一堂に会するスチールギターの演奏会、勉強会、交流会、展示会の複合イベントである。 ちなみに今年はセントルイス市内のホテルで4日間開催、 延べ9000名が集ったという。日本では藤井がこのISGCに楽器出展者兼アーティストとして初参画した年の翌1978年に第1回を開催、今回は3年ぶりであったが、全指定550席を中高年ファンが埋め尽くした。いつもギターを抱えて歌うことの方が多い、トクさん(徳永喜昭、Ole Country Boys)が今回は珍しく司会役。開口一番、過日の大雨台風により水没した観光バスの屋根で救助を待ちながら、みんなが歌をうたいながら励まし合ったことを引き合いに出し、音楽のすばらしさを強調した。
 プログラムのトップは国内アーティスト(尾崎孝・博志父子、村中靖愛)のSGによる3重奏 。続いて女性だけのハワイアンバンド太田紀美子とThe Birds。実はこれが筆者にとって1つ目のサプライズなのだ。事前に配布されたチラシの写真にはハワイアン衣装の5人の女性だけで楽器は手にしてない。フラダンサーグループと早とちりした方が悪いし、不勉強(六本木のライブ店バードランドの専属で、MXテレビでレギュラー放映中など知らなかったもの)のおしかりを受けるかもしれないが、楽器演奏(SG、E-Ba、 Gi、Uku、KeyB)もさることながらトリオ・コーラス、特にHapa-Haole Hula Girl のうつくしいハモリには感動した。
 藤井が自ら製作したSGの前に座ると、大ベテラン大野義夫の登場だ。My Heart Cries For Youがバイリンガル唱法で場内に響き渡る。PA担当者の音響制御のすばらしさもあってか、この人の音域の広さと深さを再認識したものだ。おなじみRelease Meにつづき、バンジョーの弾き語りでヨーデ ルメドレー、十八番のColumbus Stockade Bluesで締めた。 大きめバックルをベルトの左横にずらし、楽器傷つき対策をしてるので、バンジョーワークは上下左右に波動させても心配ない。ファンサービスの工夫はこんなところにもと感心。休憩をはさみ、米英メインゲスト3人の時間がきた。先ずは大御所スコッティ(DeWitt Scottの愛称)が小ぶりのSGを膝に乗せながら、分かりにくいアメリカ中部英語で紹介やら解説やらをしてくれるのだが、通訳もいないので意味不明。演奏した3曲もふだんなじみのない人たちには飽きがきたのではないか。英国から初参加の金髪Sarah Joryに代わってから雰囲気は一変した。片言日本語で愛嬌をふりまき、英語もはっきりゆっくりで分かりやすい、あざやかなユニオンジャック(UK国旗の絵柄)と本人名入りのSG(Fuzzy提供)から弾き出す音も、スタッフバンド(Dr,Ba,Gi,KeyB)のバックアップと相まって迫力満点。トリは再来日のJoe Wrightなのだが、その前に彼の友人と称するTakusan Bakaがクラウン姿でパントマイム風にたよりない足取りで舞台中央に。あごを伸ばしたり、目を見開いたり、しばたいたりと顔面を忙しく動かしながら、やはり藤井三雄がジョーへプレゼントしたイニシアルWが目立つSGで演奏、結構上手に弾く...。このコメディショーが終わるや、すかさずロングヘアーと黒の衣装で決めた主役がさっそうと現れた。第2のサプライズ!早変わりの術、なんとよく見るとさきほどの愉快なクラウンではないか。プレスリーナンバーなどボーカルも楽しくきかせ最高のエンターテイナーぶりであった。    敬称略 (リポーター:ロイ田沢)